【第3回】
スリランカを撮る(写真家・廣津秋義)

▲象に近づいて写真を撮るときは、相手の目をみて合掌し挨拶するようにしている。すると、象は目をしばたたき、ついで両耳をパタパタと動かす。心が通じたあかしである。この象の名はシンハ・ラージャという。ペラヘラで仏歯のはいった舎利容器を運ぶのがラージャである。この日、ペラヘラの衣装は身にまとわず、素顔のままで公衆の面前に登場した。悠々として冷静、聡明で茶目っ気もある。何よりも少しも威張らない。心の大きな象だ。(撮影2017年8月3日)
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廣津秋義(ひろつあきよし)
写真家。1952年熊本県生まれ。同志社大学文学部卒業。大村次郷に師事。著書に『アジア民俗写真叢書8カルカッタ』(平河出版社・1992年)、『うたごえがきこえる街、カルカッタ』(草土文化・1997年)、『スリランカ古都の群像』(南船北馬舎・2010年)など。スリランカ、キャンディ在住。

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