【第2回】
ミャンマーの未来予想図
 めてミャンマーに行ったのは今から五年前、ミャンマー観光年のときだった。当時はスーチーさんも屋外で演説をしていた。排気ガスで独特の匂いのする街を男女ともロンジーという巻きスカートを身につけ、顔にはタナカーというミャンマー式メイクをし、ビーチサンダル型の草履で歩いている。肩からシャンバックをさげ、手にはお弁当箱。ここは東南アジア最後の民族衣装を着て生活している国じゃないかと思った。人々の信仰心はとても厚くシュエダゴンパゴダを見ては車の中でも手を合わせる。ミャンマーでは生まれた曜日でお祈りをするので「そんなの知らない」って言ったらかなり驚かれた。ミャンマー人がとても親切なのはこの信仰心からきているのかもしれない。多少は観光化していたけれどまだまだのんびりした雰囲気があった。
 それから二年後に行ったときには遊園地を三つ、それに併設されたプール、ゲームセンターなどを見かけた。通りで日本語で挨拶してきたり声をかけてくる人が多くなったのには驚いた。街にはスパイスガールズの吹き替えが流れたりしてヤンゴンの若者も少しずつ変わっているなかで食堂や喫茶店では相変わらず小さな子供が働いている。田舎から口減らしにヤンゴンに働きに出された子供達だ。街にはハンバーガーやフライドチキンの店や天理スタミナラーメンができていたけどミャンマー人曰わく、ファーストフードは「ごはん」じゃないらしい。加勢大周に似たタレントも変わらず人気があった。
 どこの国でも同じだけどミャンマーの女性もお洒落に余念がない。アジアの中でも比較的おとなしいミャンマーの女性達。市場には日本で見かけるような当たり前のズボンやシャツ、ハンドバックにショルダーバックやお洒落な靴が売られているけど街でこれら一式を身につけている人はあまり見かけない。定番はロンジーにブラウス。だいぶん変わってきたけどズボンを履く人はもちろん少なく中国系の女性が履いているくらいでミニスカートなんて見かけない。女性の喫煙や飲酒は問題外である。お金持ちでお洒落な家庭なら男性でもジーンズを履いたり、女性もヒールのあるサンダルを履いてお化粧も念入りにする。
 ヤンゴンに滞在中、ロンジーを頂いた。とてもお洒落な家族から頂いたロンジーが、なぜかミッキーマウスの絵なのだ。これは未だに謎でミャンマーに行ったことがある人ならわかると思うけど、ロンジーにキャラクターモノなんて考えられない。着物でいうとキャラクターの訪問着を着ている感じだと思うんだけど。またそのミッキーマウスがちょっとブサイクで、そしてこれを身につける私がミッキーマウスの似合うキャラではないというのが一番の問題だった。はき慣れないうちはロンジーが歩くたびに乱れて格好悪い。せっかく頂いたのでこのロンジーで乱れながらも街を歩いたけど、どう考えても「変」なのである。現地の人から「あっミッキーマウス」と通りすがりに言われ、ヤンゴンに留学していた友達と再会したときにも「めずらしいね。初めて見た」と。極めつけは同じ日本人の旅行者が「ミッキーマウスのロンジーってあるんだ」と妙に感心して話しているのが聞こえてきた。私の趣味じゃないのに。これはきっと何かの間違いである。イヤもしかしたらあのミッキーの布はロンジー用ではなくカーテンか何かに使うただの布だったのかもしれないし、外国人向けに特別に気を利かせてくれたのかもしれない。
 ど、実はこれって時代の先取り?って思ったりもした。だって日本でも夏の浴衣はキャラクターモノも見かけるし、浴衣の丈を膝まで上げている子も見かける。浴衣も進化しているから、あと何年かしたらミャンマーでも伝統的なデザインじゃなくキティーちゃんやスヌーピーのロンジーが流行っていたりするのかも。ロンジーの丈が短くなり草履がミュールに変わっていく。何かミャンマーらしさが無くなる気もするけど、そうなった時はファッションリーダーとして自信を持ってあのロンジーで街を歩いてやる。
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